花咲く美人

よく利用するスーパーマーケットのレジにすごい美人がいる。

たぶんトシは五十台後半から、六十。
背は小さく、テキパキ機敏に動くけど、体型はずんぐり太め。
目と目の間が離れて見える扁平な骨格の、横卵型の輪郭には、小さめの目、低めの鼻、大きめの口がパラリと散らされている。
そう、一言でいうと、お多福さんにそっくり。
でも、色白の顔に、きれいな色の口紅つけてニッコニコとしている彼女は、生き生きとして、とってもきれいで可愛い。

少女マンガをみると、主人公の感情を表現したり、華やかさを出す為に、背景に花が散ってたり、放射線が引かれていたり、禍々しい網縄がうずまいているけど。
あれは、リアルに人を捉えたものだと思う。
実際、本当に人は、その人の気で、感情のオーラで、花を出したり、怨魂を漂わせたりしてる。

スーパーのレジで、ちょっと甲高い声での「いらっしゃいませ♪」の挨拶を受けると嬉しくなる。。
彼女が微笑むと、その周囲にピンクの花がパァッと飛ぶのが見える。
彼女と接した後は、なんだかホンワカ心が浮かれる。
いいな。いいな。本当に美人だよな。

………もしかして、これって恋?

忌明け

今日はてんてんの四十九日。

亡くなったものは、四十九日後に他の世界に往って生まれ変わるという言い伝えがあり。
そして、この間に遺族が供養を重ねる(善業)ことによって、彼らを、よりよい生まれ変りにおくことができるのだという。
私は無宗教であるけれども、この供養のシステムを部分的に利用をさせていただいている。

てんてんの状態が死に向かう不可逆なものと覚った時。
その最後をきちんと看取るために、しっかりしなければ。という気持ちが私を張り詰めさせていた。
亡くなってからは、埋葬の為に泣き崩れてしまう事はできない。と。

倒れないように、息を続けるために、必要な意味。

ある画家はこういう言葉を残して死んだ。
「葬式無用、弔問供物固辞すること。生者は死者のために煩わされるべからず」
私はこうした感覚が好きだし、私が死んだ時は、この形で逝かせてもらいたいと願っていた。
でも、今では、供養や葬儀は、時には死者の為ではないもの、それを奪うことはどうかと、思い迷う。

死者を悼み、祈る気持ち、それは残された者の悲しみの浄化儀式だ。
供養という義務は、生きていかねばならぬ者の、日々を支える意味の杖になる。

生者は死者に煩わされたい。

緒方貞子さん

「緒方貞子という生き方 黒田龍彦著 」「私の仕事 緒方貞子著」など、緒方貞子さん関係の本を何冊か読んだ。

読んでみて、まず、最初にびっくりするのが、彼女の心身のタフネスぶり。

「私の仕事」には、ジュネーブで仕事をこなす彼女の日記(1993年5月から1994年8月)が載せられているが、それは60を越えた女性がこれだけのスケジュールで動くことが、いったい、どうして可能なのか?と思うくらいの激務の記録。

「現場主義」をとる彼女は、飛行機をまるでタクシーのように乗り回し、世界中の現場(難民キャンプ)に向かっていく。
そこは政治紛争の只中、安全といえないどころか、命掛けの視察となる場合もある。(実際、何度か命を狙われ、彼女の頭の側を弾丸かすめたこともあったそうだ。)
しかし彼女はどんな状況でも冷静さを失わず、可能な限り、現場スタッフや難民達と直接に触れあい、話合う。

彼女はサラエボへの援助物資を一時停止したことがある。
それは当時、セルビア勢力の弾圧下にあったムスリム系勢力が自分たちに対する援助物資を武力で差し止め、自らの悲惨さを強め、それを世界中にアピールすることで、セルビアに対する世界的非難を与えようとする。政治行為に対する対処としてだ。
このときに「人道援助を政治駆け引きに利用するとは許せない。」と彼女は怒り。援助物資をサスペンド(一時停止)した。
彼女のこの決断は世界中から非難を浴び。
「和平交渉が頓挫する。」
「一難民高等弁務官がこのようなインパクトのある決断をしてもいいと思っているのか。」などと国連からも強く叩かれた。
(この後、彼女の非難された決断は、功をそうし、事態はすみやかに解決している。)

現代の男性は、どんな地位にあっても(むしろ高地位であるほど)利益、権力、社会的地位を守るための、立ち回りをする。
彼女の仕事、決断には、その保身が見えない。
それは彼女が一番に考えているのが、人の命だからかもしれない。
政治紛争の中で、戦争で、人種対立で、一番の犠牲になるのは、力を持たない女性や子供、老人。
彼らを守るという仕事に対する使命感と誇り。
それが、彼女に位階主義や官僚主義に染まった人間と、全く違う決断をとらせているように見える。

すごい人だと思う。
物質主義に浸された日本には、道を持った人はいなくなってしまった。と思っていたけれど、緒方貞子さんは、信念を貫く、武士を感じさせてくれる。

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Author:ふくふく
3時のおやつよりうさぎが好き
のWEBデザイナーです。

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