2019/07/29
足利ハリストス教会 その2 【2018/FBから移動編】
山下りんという、イコン画家を御存じでしょうか?山下りん(山下里舞)は、1857年(安政4年)に、現在の茨城県笠間市に生まれました。りんが6歳の時に父親が亡くなり、りんが育った家庭環境は貧しく辛いものであったようです。
そういった中、りんの「画家になりたいという夢」は周囲には理解されず、彼女が絵の勉強をしていくことは、日に日に困難になっていきました。
「絵を学びたい。東京に出て師につき、絵の道に進みたい。」と、思いつめたりんは、一人で東京に飛び出します。
……それから後、日本で女性初のイコン画家となった、りんの生涯は、生活の面でも、また、自分の絵を描くということの面でも、苦難と、悩みに満ちたものでした。
私が足利ハリストス教会に行った、一番の理由は、この山下りんさんの「イコン画」を観るためでした。
ここまで、殆ど命掛けのように、絵を描くことに情熱を傾けた女性の絵を実際に観てみたいと思ったのです。
もちろん正教会という日本では珍しい教会にも興味がありましたが、私が教会を訪ねた理由の80パーセントはりんの描いたイコン目当てでした。
私が上記のような、ちょっと信仰心とは遠い理由で、ミサに参列をさせていただいたのに関わらず、神父様、教会の皆さまは本当にとっても親切でやさしく、以前、カトリックのミサに参加をさせていただいた時に感じた思い「キリスト教徒の人はなぜ、みんな、こんなにフレンドリーで温かで親切なんだろう。」が蘇りました。
また教会の雰囲気も素晴らしく、天井からの光と一緒に、澄み切った「気」がきらきらと舞い落ちてきているようでした。
思いがけないプレゼントをたくさん天から頂いたような、そんな半日に感謝です。

ハリストス教会にはたくさんのりんの絵があります。
中央の六枚、この写真は、ドアが開いた状態なので、一枚、見えませんが、その脇の四枚が彼女のイコン画です。

山下りん「至聖三者」
この絵は女性禁制の場に飾られているので、ドアのところから覗く形で撮影をさせていただいたもの。

山下りん。
「生神女福音」

山下りん
「福音記者ルカ」

山下りん
「福音記者マトウェイ」

美しいシャンデリアのの上は、天窓になっていて、太陽の光が降り注ぎます。
この下に立った時、清浄な風が身の内を吹き抜けていくような、慈しみの光の中にいるような……。
心地よい感覚が身体中を廻りました。

エキゾチックな雰囲気のキャンドルスタンド。
青と赤、そして金色が、とても効果的に置かれていた教会の内装。

日本に正教を伝道された、聖ニコライ(たぶん)
私は、正教会に行く前、この聖ニコライについて、少しだけ調べて読んだのてすが……。
いや、もう、ものすごい苦難にあわれている。
逆境につぐ、逆境です。
耐え抜くことができたのは、真の信仰という魂の支えがあったからなのかもしれないと思いました。
また、彼は非常に謙虚なお人柄であったそうです。

振り香炉
上にはキャンドル、下は香炉になっていて、これを降るとシャランシャラン♪という音と共に、お香のよい香りが撒かれます。

山下りんさんの描かれたものではないのですが、とても心を惹かれた絵です。

神父様をはじめ、教会の皆さまは本当に親切で温か。初対面の、ドコの馬のホネとも知れない私を、みなさんと一緒の昼食にお誘いくださいました。
教会のみなさんが持ちよって作られた、ランチは、素朴で、とってもおいしかった。
栃木でとれるロア麦の入ったご飯♪
この後、神父さま、みなさまとも、記念写真もとってきてしまった私。
得度をしてなかったら、正教会の会員になっていたかも。というくらい、素敵な一日を過ごさせて頂きました。
……また行きたいな。



ではでは~。それでは、また~。